「総合的な学習の時間」
私はこう考えています

2000.1.5更新
総合的な学習の時間について,学んできたことを焦点化して掲載します。

 「総合的な学習の時間」。今,一つの流行と化している感があります。私が参加したあるセミナーでも,他の分科会の数倍から十数倍の教師で会場は埋め尽くされていました。私の師は県教育センターの「総合的な学習の時間」担当主査ですが,県内外より多数の問い合わせを受けたり,講演・執筆等の依頼があったりと,日々大忙しです(師が立場上全てをお受けすることができていない現状は御理解ください)。
 多くの研究者・実践家の皆さんがなさっていることに対抗して何かを御提案する材料は特にありません。ただ,私が日々いろんな情報を得る中で,「総合的な学習の時間」に関して自信をもってきたことはあります。現場へ戻ったら,「気楽に,楽しく,かつ実りある実践ができるのではないか。」と考えています。私の思い込みかも知れませんが,ここではそう考えるようになった訳を掲載したいと思います。


「情報」「国際理解」「環境」「福祉・健康」
は並列ではない
 私が偉そうに言うまでもなく,皆さん御存知なことかも知れませんが,総合的な学習の時間の内容に関して例示されている4つ,これは同等にとらえられるものではありません。下図を御覧ください。これを見ると「うちの学校では国際理解教育に力を入れて…。」とか「環境教育を核として…。」等という言い方はできても,「うちの学校では現段階では情報教育には取り組みません。」とは絶対に言えない,ということがお分かりいただけると思います。
 情報教育は例示されている他のものとは全く性質を異にしています。情報教育はどちらかというと学習の方法面で重視される分野です。つまり情報教育は全ての学習を進める上で基礎となったりてことなったりする学力を養う場なのです。そう考えると,子どもに「メディアリテラシー」「プレゼンテーション能力」を育てる「マルチメディアプロジェクト」が,大変有効な学習過程である,と断言できるのです。

「総合的な学習の時間」
を有効に活用して
 右上の図は,私が構想したマルチメディアプロジェクトです。まだ実践はしていません。しかし,こうした学習過程を通して,確実に「メディアリテラシー」と「プレゼンテーション能力」という「情報化社会における基礎・基本」は育てられると考えます。
  
 今までの教科の学習過程と大きく違う点を,私は「時間枠」という概念の中に見いだしています。(もちろんプロジェクト学習ですから,子どもは明確な到達目標をもって学習をスタートさせていることが大前提です。本当はそのことが一番大切なのですが,ここでは省きます。)
  • 学習内容が学校に任せられているので,「年間を通してここまでしなければ」という規制が無いに等しい。逆に言えば無理な年間計画を立てる必要もないし,無理であれば計画は自由に修正できる。
  • だからこそ子どもはプロジェクトを達成するまで,とことんやり抜くことができる。情報の収集−編集−発信−伝達を「伝えたい相手に伝わるまで何度でも繰り返す」ことができる。
  • この「何度でも繰り返す時間」「自分の達成感や相手意識を最重視した活動」が確保できる「時間枠」,それが「総合的な学習の時間」なのです。
 総合的な学習の時間で子どもに育てられるものはいろいろ考えられます。その中でも私は,こうした「情報活用の実践力」「人との交流を通して得られる相手意識」が大切であると考えます。必ず成果が上がる!私は来年度からの見通しを,このようにして抱いています。