語ればキリがないくらいのページになりますが,まずは手始めとして昔話を中心に…。

 かつて私は,小遣いや給料のほとんどを「着るもん」につぎ込んでいました。今振り返るに,本当に「愚か者」だったと感じます。しかし,そんな時期を経て今があるわけで,一概に自分を否定するだけで終わることはできないようにも思います。
 おかげさまで,今はバンバンと新しい服を買うことなどなくなりました。その分,高価だった昔の服を,大切に大切に着ています。10年選手のスーツも現役で活躍しています。無駄遣いをしたことは,自分が買った「着るもん」への愛着と,ものを大切にする心とを,今に残してくれています。
 このページでは,私の「着るもん」へのこだわりの歴史を掲載しました。相当マニアックな自己満足の話題です。ばかばかしいと思われて当然。一般的な感覚をもった方には何ら意味のない情報ですので,どうか遠慮なく立ち去ってください。


中学時代「TRAD,IVYへの目覚め」
愛読雑誌:POPEYE,HOT DOG PRESS
 今思えば,友人に影響を受けて読み始めた雑誌「ポパイ」「ホットドッグプレス」が,全ての始まりだったように思います。両誌とも単なる情報誌ですが,たまたまアイビーやトラッドの特集をやっていたんですよ,そのとき。
 一番印象に残っているショップは「PICK UP VAN」です。当時VANが事実上倒産していて,その商品を青山゚に集めて売っていました。東京へ遊びに行ったときに,訳も分からずステッカーやキーホルダー等を購入して,満足感に浸ったことを記憶しています。でも,実際にトラッドの服などあまり持っていませんでした。むしろ,LEVI'Sの501(右の写真)を履いていたことの方が記憶に残っています。



高校時代「TRAD,IVY,PREPPIEかぶれ」
※すねっかじりの高校生の身分で,
ずいぶんわがままでぜいたくな趣味
を黙認してくれた両親に,心から感
謝しています。しかし両親は,こんな
私の育て方を「失敗した」と後悔して
いますが…。
愛読雑誌:MEN'S CLUB
 後に東京大学へ進んだK,今でもたまに遊ぶ仲間S等の影響を受けつつ,どんどん着るもんにこだわるようになっていきました。メンズクラブの中に,素人がトラッドでコーディネイトした姿を撮影し,その写真を掲載するというコーナー(名前は忘れた)があったのですが,何とかしてそのロケ地へ行こう,どんな格好をしたら取り上げてもらえるか,などと真剣に考えていた時期もありました。
 ブランドとしてはJ.PRESS, MAC BETH, NEW YORKER, UNIVERSITY SHOP等のものが田舎では手に入りやすく,一般的でした。でも,たまに東京へ行くと,CREW'S, BOAT HOUSE, BOAT HOUSE CLUB, BROOKS BROTHERS等の店へ行き,手頃なトレーナーやバッグ類を買っていました。
 懐かしいところでは「プレッピーファッション」として,プルオーバーのボタンダウンシャツなんかが流行っていましたね。今ではとんと見かけなくなってしまいましたが,…。そうしてみれば,トラッドだのアイビーだのと言いながら結局流行に左右されていた,ということなんでしょうねえ,このカテゴリーの着るもんも。
 ところで,このころ買ったもので,未だに現役バリバリで活躍している服があるのです。それは,THE NORTH FACEのダウンジャケット(左の写真)です。当時はHEAVY DUTYファッションという位置付けでダウンジャケット・ダウンベストが多くの人に愛用されていたけれど,その後着て歩くのが恥ずかしいくらい全く街で見かけなくなった時期がありました。ところがここ6,7年くらい,またまた定番的な冬のアイテムに返り咲いていますよね。高校生が買う服としては,当時相当高価なものだったと記憶していますが,多少のヨレはあるものの,しっかりした作りのブランドだけに未だに全く問題なく着れます。



大学時代「TRADからDCブランドへ」
愛読雑誌:MEN'S CLUB →  MEN'S NON-NO
 大学に入学したばかりのころは,高校時代のトラッド指向をそのまま引きずっていました。大学のキャンパスを緑のタータンチェックパンツチビボウタイボートハウスクラブの正ちゃん帽等を身につけてうろうろしていました。悲しいかな,周りにそんな人は一人もおらず,思いっきり浮き上がっていたことを克明に記憶しています。
 そんな私も,良いも悪いも様々な影響を与えてくれた友人T等の影響を受けて,DCブランドへと目を向けるようになりました。monsieurNICOLE,MEN'S BIGI,MEN'S MELROSE,TAKEO KIKUCHI等のもの(右の写真)を,そんなにお金はないので少しずつ手に入れていた時期でした。大学時代の思い出としては「バーゲン」があります。西に東に,バーゲンの情報をかぎつければ泊まり込みで駆けつけました。大混乱の中,たまたま手を伸ばして握りしめたメンズビギのローファー靴やメンズメルローズのギンガムチェックパンツ等は,本当にお値打ちな買い物でした。後者は未だに現役で活躍しています。
 あっ,ついでに,卒業式前に買った(バーゲンではない)ムッシュニコルの黒スーツも,冠婚葬祭・ステージ衣装と,未だに幅広い活躍をしてくれています。



社会人「DCブランドからイタリアもの,そして今」
愛読雑誌:消滅
 社会人になって最初に行った店がmonsieurNICOLE。そこへいた店員のAに,その後とことん世話になることとなりました。彼がムッシュニコルへいた時代にはムッシュニコルで,BARBICHEへ移ればバルビッシュで,HenryCotton'sへ移ればヘンリーコットンズで,…,さんざんお金を使いました。3ブランドの中でそれぞれ特に印象に残っているものを一つずつ挙げると,左のようなものになります。(なお,Aはすでにこの業界にはいません。)
  • ニコルのジャケット(写真ブラウン),いろんなコーディネイトができるので今でもたまに着ます。もちろん職場で現在着ているスーツの中には,この頃のニコル製のものが未だに2点残っています。
  • 決して安くはなかったバルビッシュ製品。本当にトータル○百万円は使ったでしょうねえ。その中でも,最高額を要したシカ革のコート(写真ブラック)が,最も印象に残っています。もちろん現役選手です。今だから言える話ですが,Aが6万円も値引いてくれたんですよ,6万円も。
  • ヘンリーコットンズの製品も私にとっては高価でした。すでにバブルは崩壊して,ややチープなコーディネイトが主流になってきていた時代だったので,余計に割高感を感じました。でも,Aにつられて,それなりに着々と購入していったのも事実です。数あるものの中で,今でも大変気に入って使っているバッグを代表の一品に選びました。革製ではないけれど,使えば使うほど風合いを感じる素敵なカバンです。 
 そして今,本当に着るもんに使うお金の額がうんと減りました。年を取ったこと,昔のストックで十分に間に合うものが多いこと,そんなことにお金を使っている場合ではなくなったこと等,理由は色々挙げられますが,あの頃激しく無駄遣いをしたように感じていたことが,何だか今の自分を形成する上でずいぶん役立っているような気がしてなりません。まあ,私にとって麻疹のようなものだったのでしょう。来るべき時が来て,終わるべきものが終わって落ち着いた,ということだと思います。
 そんな現在,ちょっとだけ凝っているブランドがあります。一つはアウトドア系ブランドAIGLE,もう一つはとっても履きやすいシューズを作っているPATRICKです。共に地元へいたのでは決して手に入らないブランドなので,それなりの都市へ行ったときにショップを訪れたり通販を利用したりして手に入れています。これらのブランドの良さを教えてくれたのは親友Yでした。
 程度はずいぶん軽くなったけれど,やはり相変わらず病気は治っていないようです。「三つ子の魂百まで」といったところでしょうか。こんな素敵なこだわり・趣味をもつ私を作り上げてくれた数多くの友人に対して,私は今,本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

※世の中の皆様,こんなばかばかしい趣味をもった男もいるんだ,ということを御認識ください。