第6学年社会「日本国憲法」の中で取り組んだ授業
to Homepage
学習の経緯や流れ  岡山県笠岡市立金浦小学校2001年度の6年生(2クラス)は,「日本国憲法」の平和主義について自分の考えをもつ授業を行いました。左図にその流れや経緯を示しています。
 クライマックスの「議員さんのお考えを聞き自分の考えをもつ授業」を実施したのは,3月15日という卒業式直前の日でした。時間に制約があったため意見交流はほとんどできませんでした。その代わり,最後に全員が「自分の考え・感想」を書きました。このページでは,子どもたちがその時書いた文章をそのまま掲載します。我々大人が今の社会・国際情勢をどう考え,どう行動すべきかということに,何らかの示唆を与えてくれるものではないかと考えます。この子たちは総合的な学習の時間に「戦争の記録を残そうプロジェクト」にも取り組んでいます。合わせてご参照いただければ幸いです。
参考資料1
 子どもたちが各国会議員さんへ自分で書いた手紙を送る際,担任の手紙も同封しました。その文面を御覧になりたい方はこちらをクリックしてください。
参考資料2
 御協力いただいた国会議員さん(当時)27名のお名前を,50音順で掲載させていただいています。御覧になりたい方はこちらをクリックしてください。
2002年3月15日の授業
授業の一場面  2クラスの児童が1つの教室へ集まり,我々担任2名が交互に国会議員さんからの御返信を読みながら授業を進行。同時に液晶プロジェクタ+スクリーンで,御本人のお写真(各政党のWebページの活用)を映しながら行いました。
 読み終えるたびに「この方はどんなお考えだった?」と問いかけるようにして,子どもの発言を板書へ書き留めていきました。
 単調な授業展開であるにもかかわらず,子どもたちの学習ぶりは恐ろしいほど意欲的で,2単位時間以上の間,意外なほど集中力を持続させていました。
 意見交流する時間があまり無かったので,授業記録は「子どもの書いた感想・自分の考え」の掲載のみとさせていただきます。しかし,この子どもの記述をお読みいただければ,どのくらい価値のある学習だったか御理解いただけるものと思います。

子どもたちの書いた文章
 以下,申し訳ございませんが決してレイアウト的に読みやすい記事ではありません。興味のある方のみお進みください。でもていねいにお読みいただければ,授業を通して子どもたちが何を考え何を得たのか,お分かりいただけるものと思います。

 「学習を終えた今,「平和主義」についてあなたの考えを教えて下さい。」という問いかけに対する35名の子どもの文章です(欠席等の関係で全員ではない)。明らかな誤記以外は,原文を忠実に再現しています。掲載順にも編集者の意図は全くありません。
 あくまで子どもたちの書いた文章です。事実認識の浅いもの・誤ったものなど,数多く見受けられますが,本時の学習内容・ねらいとは直接結びつかないものも多いので,どうか御容赦ください。逆にこの学習をもっと早い段階で実施できていたら,こうした認識不足も正すことができたでしょうし,新たな学習問題へと発展しより価値の高い学習も展開できたと考えます。学校は変わりましたが,2002年度も6年生を担任しています。ぜひ何らかの形で,この実践の成果や反省を生かしていきたいと考えています。


今日,日本国憲法3つの柱の1つ「平和主義」のことについて学習した。前までは「今の憲法の中でも,今やっていることはおかしくない」派だったのだけど,今日のいろいろな国会議員の人たちの考えを聞いて,「ああ,人によって考え方がちがうんだなあ。」と思いました。
今では「今の憲法の中でも,今やっていることはおかしくない」ではなくて「今の憲法を大切に守って,やっていることを考え直すべき」の考えに変わりました。
(1)

ぼくは最初「今の憲法の中でも,今やっていることはおかしくない。」の意見だったけど,いろんな党の人の話を聞いていくうちに,この人の言っていることも分かるなあと思いました。
最終的には,自分では決められず,「よく分からない」へ手をあげました。
党などによっていろんな意見があるんだなあと思いました。
(2)

やっぱり平和主義はちゃんと守らないといけないと思った。小泉さんを中心として,今やっていることを考え直す必要があると思いました。やはり憲法は日本が決めたことだから,憲法の三つの柱などは,守らないといけないと思いました。
(3)

私は「今の憲法を大切に守って,やっていることを考え直すべき」の方に手をあげたんですが,やっぱり日本だけ「平和主義」という柱を持っていても「しょうがない」と思います。日本は戦争をしない,でもほかの国はやっていい,みたいな形だと,いつか世界中に戦争が行きわたっていくと思います。
世界中でこの憲法を作るべきだと思います。
(4)

私は,ぜったいにちょっとでも加わらない方がいいと思います。どうして日本が関係あるのですか?「困っている人がいたらほうっておけない…。」それはそうだけど,ちょっと行き過ぎではないのですか?
今の憲法の中でもやっていることはおかしくない,という考えで進んでいるけれど,もう一度考え直してほしいです。
私の考えは,今の憲法を大切に守って,やっていることを考え直すべきだと思います。
(5)

ぼくは,はっきりいってよく分かりません。でも,平和主義で二度と戦争はしないということなので,やっぱり何もしない方がいいと思います。アメリカに加勢みたいなことをしたら,日本がまきこまれて戦争などをしなくてはならなくなってからでは,おそいからです。やはり武力などで解決してはいけません。国民がまた苦しい思いをしなくてはならないと思います。
でも,よく分かりません。
(6)

私は「今の憲法の中でも,今やっていることはおかしくない。」と思いました。
「平和主義」といっても,外国から日本がこうげきされたら,やっぱり自分たちを守るために戦わなければいけない。議員さんの考えにもそういう意見が多かったです。そうすれば,戦争になって多くの人がつらい思いをします。
だから世界のどの国も「平和主義」を宣言すれば「平和」な世界になると思います。
(7)

日本は戦争に出ない(加わらない)方がいいと私は思いました。日本まで巻きこんでほしくありません(少し)。「人が困っていたら助ける。」「自分が困っているときは助けてもらう。」私はこの言葉は実行してもいいと思います(賛成)。
私の考えは,今の憲法の中でも今やっていることはおかしくない,です。
(8)

ぼくは平和主義について「今の憲法の中でも,今やっていることはおかしくない。」という考えをもっています。憲法に反しているとは,ぼくには思えない。
「今の憲法を大切に守って今していることを考え直すべき」という考え方もちがうとは言わないけど,ぼくはそうは思いません。
(9)

ぼくは今日のことで,本当は「憲法を少し変えるべき」がいいと思っていたけど,手紙を聞いていくと「変えるべき」という考えは少なかったです。そして「今の憲法を大切に守って,やっていることを考え直すべき」という考えに変えました。
(10)

さすが議員さんらしい言葉で書いてくれていたな〜。今日のこの学習で,議員さんのいろいろな答えが返ってきていろいろな考えがもてたような気がする。自分では,やはり今のままでよい。アメリカのしえんもできるだけおさえて,攻撃はしないようにした方がいい。日本国憲法のことがよくわかった!
(11)

ぼくはもう少し「平和主義」の法律を増やした方がいいと思いました。このままじゃいけないと思いました。「平和主義」はものすごく大切なことだと思いました。「平和主義」は日本国憲法の大切なことだと思いました。
(12)

ぼくはやっぱり,アメリカにえんじょをするために自衛隊を送るのはだめだと思います。今の国会は,このままでいいという考えをもって動いているのだけれど,ぼくが手紙を送った■■さん(ある国会議員さんのこと)の言うように,えんじょうはいけないと思います。「平和主義」ということは平和なのです。「えんじょうは戦争とはちがう」と言う方もいたのですが,今アメリカは戦争をしているのです。それに加わるということは戦争に加わるということと同じことです。また,多数の人(世界の人)がぎせいになるのです。これだと,ヒトラーと同じです。
(13)

やっぱりアメリカのこうげきで,日本が今やっていることはおかしくないと思う。でも,憲法をかえたりしたら,今やっていることはできないか,もっとできるようになったかもしれない。日本は戦争はしたらいけないけど,今していることはかかわりはあるけれどそのくらいならいいと思う。
(14)

私は前の考えと変わらず「憲法を大切に守る」という方に手をあげました。やっぱりえんじょするということは,戦争に手をかすということになると思い,平和主義が守れていないと思ったからです。
(15)

私は日本の「平和主義」について授業中には「今の憲法の中でも,今やっていることはおかしくない。」と手をあげましたが,やっぱり「今の憲法を大切に守って,今やっていることを考え直すべき。」だなあと思いました。そのことを書きます。この憲法は,私はずっとあってほしいな,と思います。やっぱりこの憲法がなかったら,日本は今も戦争をしていたと思います。たくさんの議員さんたちの考えが聞けて,すごくまよいました。これは,どれが正しくてまちがっているということではないと思います。まちがっているところは改めて,よいところはさらによくしていけばいいと思いました。
(16)

私はある議員さんが言ったとおり「アメリカなどに船・飛行機のねんりょうなどを入れたりする」のは,戦争にかかわっていると思う。ねんりょうを入れる(協力)ことは,アメリカとアフガニスタンに「戦争をしろ!」と言うのと同じだと思います。だから,私はアメリカに協力するのではなく,戦争をとめることをするのが大切だと思います。日本はじっさいに戦争にあい,げんばくなどで,とてもひさんなことになってしまった。そのただ一つの国として,とめるべきだと思います。戦争は,かってもまけても,いいことは一つももたらさないから…。
(17)

ぼくは国会議員の人の手紙を読んで「やっぱり国会の人は今の憲法でいいんだな」と思った。自分たちが議論を重ねて作ったものだから,やっぱりおかしくないと思っている(国会議員の人は)。でも,ぼくは憲法のことを少し考えた方がいいと思います。賛成や反対とかで対立しているんじゃなくて,ちゃんとなんの対立もしていないスッキリとした日本国憲法になってほしい。
(18)

ぼくは手紙を出す前から「今の憲法を大切に守って,今やっていることを考え直すべき」の考えです。やっぱり戦争はしてはいけないと思いました。ぼくは○○さん(ある議員さんのこと)も同じ考えだったのがうれしかったです。ほかにもいろいろな人が同じ考えでよかったです。この先も,憲法を変えないでほしいです。
(19)

いろいろな国会の人の話が聞けてよかったと思う。
なんか,話を聞く前とあとでは気持ちが変わった感じがする。
やっぱ国会議員さんはすごいと思った。
とてもいい時間だったと思う。
(20)

ぼくはなぜかわからないけど憲法を変えてほしくありません。ぼくが手紙を出した人の意見を知りたかったのですが,残念です。よそうどおり,いろいろといる中で,ぼくと同じ「憲法をそのまま」という人がいました。まあ,いろいろあっていいんですが,憲法のわくをふみはずさないていどに,小泉内閣はこれからやっていってほしいです。
(21)

たしかに戦争に協力するっていうのはイイような悪いような話なんですけど,そのテロの被害はたくさんの日本人も受けているし,人を助けるってことは悪いことではないと思います。人を助けるっていうことは「平和」だと思います。だからぼくは「今の憲法の中でも,今やっていることはおかしくない。」と考えます。
(22)

いろいろなかんがえをもっている人たちがいてびっくりしました。ねっしんに教えてくれる人がいてびっくりしました。
(23)

私はいろいろな国会議員からの手紙を読んでいて,私の考えは…………。
どんなことがあっても戦争に加わるというのは変だと思います。●●さん(ある議員さんのこと)の手紙のように,「燃料&食料などを支えんしなければ,戦争はできない。」と思います。だから,戦争に直接かかわっていなくても戦争の形を作っているのは,燃料&食料などを支えんしている国なのでは?と思いました。
(24)

国会の方々のいろいろな意見を聞いてまよいました。でも,人を傷つけることはやっぱりいけないことだし,同じ人間なんだから,1度キリの命,なくしてはいけないと思います。タリバン政権の人たちが悪いのに,なぜその地方の人々がぎせいにならないといけないのか。また,日本は経験しているのに,またむざんな戦争の仲間入りをしなければいけないのか。どう考えてもひどいことです。それを政治上で行われても困ります。だから,私は「今の憲法を大切に守って,今やっていることを考え直すべき」の考えです。
(25)

ぼくは最初,なぜじえいたいを平和主義の日本が持っている(はけんしている)のかと思っていたけど,いろんな人の話を聞いて,日本がじえいたいをもっていることに少しなっとくしました。
(26)

とても多くの手紙を見て,たくさんの考えがわかりました。ぼくが出した手紙が返ってこなかったのが残念でした。前は憲法を守ればいいと思っていました。でも今は,おかしくないと思います。羊のように力を合わせて,国を守っていけばいいと思います。
(27)

私はどっちかというと「今の憲法を大切に守ってやっていることを考え直すべき」という考えです。やっぱり戦争の手伝いはいけないと思う。
でも子どもたちなどの手助けは賛成だ!「賛成」「反対」という言葉は,はっきり言ってなんかなんかむずかしいことだと思う。
最初から自衛隊を送ることがいけないと思う。
(28)

私は,今行っていることを考え直すべきだと思います。自衛隊は「日本を守るために」作られたと言っていますが,私は結局は戦争をするためのものだと思います。
ずっと日本が平和であってほしいです!
(29)

私は「今の憲法を守る」という考えなんだけど,「憲法を変える」という考えは,軽く流したいなどと思っている人だと私は思う。理由は,変えればそれで解決すると思っている人のように感じたからです。
日本の国会が1つにまとまって動いた方がいいような気がします。でも,自分の考えは変えれないし…。
それもむずかしいですね…。
一人一人の考えがちがいすぎて,こまるようなこともこれからおきてくるかもしれないけど,国民のためにも,考えをまとめてほしいと思います。
(30)

私の考えは「今の憲法を大切に守って,今やっていることを考え直すべき」なんだけど,やっぱりいろんな人の考えがあるんだなと思った。誰がまちがっているとかじゃないんだけれど,「今の憲法の中でも今やっていることはまちがっていない」という考えの人たちが多いから,考えるのが難しいんだと思う。けど,両方の話を聞けば正直言ってどれにすればいいのかなんて分かりません。だけど,やっぱり自分が思っていることは戦争のない平和な世界だから,外国に手をかさない,…言いにくいんだけど,…と思いました。いい経験でした。
(31)

私の意見は「今の憲法を大切に守って,やっていることを考え直すべき」に近いです。なぜかというと,私は「平和主義」の内容は,初めて知ったときすごくいいなと思ったからです。
だからじえいたいを作ったりテロ組織を攻撃する手伝いをするのは,よく話合いをしてやめていけばいいと思いました。社会科最後の授業がいい経験になりました。
(32)

ぼくは,今やっていることにはぜったいはんたいです。りゆうは,ころしあいのてつだいになっているからです。それにタリバンの人々がみんなわるいとは言えないとおもいます。そして,タリバンの人々が日本にもうらみをもち,こんどは日本がねらわれ,けっきょくせんそうがおきるかもわからないからです。
(33)

国会議員さんの考えを聞いて,本当にさまざまだった。
私の考えとは反対でも,「あ〜なるほど…。」となっとくさせられる文章もたくさんありました。自衛隊がなければ,もし日本が被害にあったとき困るし,9月11日に起きた「テロ事件」と結びつけるとしたら,自衛隊がないと米国との関係がくずれてしまうと思った。でも,やっぱり「戦争はしてはいけないもの」として考えてほしいなあ。と思った。
(34)

いろいろな国会議員の考えを聞いて,私は「今の憲法を大切に守って,今やっていることを考え直すべきだと」と思いました。わけは,憲法に書いていることからすればまちがっていることをやっているからです。日本は武力を持たないはずなのに,アフガニスタンの戦争を手伝いに日本が行っているからです。
(35)